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石持 浅海「月の扉」
月の扉読書 「月の扉」

オビに 「かつてこんなに美しいミステリーがあっただろうか」 とある。 03年の 「このミス」 の8位他各種ランキングの上位にランクインしたと評判の本格ミステリーというふれ込み。 

ハイジャックされた旅客機内で乗客の一人が死体で見つかる。 果たして自殺か、他殺か。 殺人だとしたら犯人は?動機は?方法は? 
これだけだったらまだ許すよ。 まあ理屈っぽい状況説明がめんどくさいとは思うけど、こういう推理小説もあるのか、くらいで許すよ。 たまたま事件現場のそばに座っていた乗客が、ハイジャック犯から探偵役に指名されたにしては、ずいぶん賢い人だったけど、そんな偶然も許すよ。

だけどハイジャックの背景はどうにも理解できない。 説得力のかけらもない。 ファンタジーだから大目に見ろと言われても、あんまりな設定で許せない。 これのどこがこのミス8位なのか、私にはわからない。

不登校などの子供たちを救うキャンプというものをやっている、カリスマ的な男性が、不当逮捕された。 キャンプに係わっていた3人の男女が、その 「師匠」 の釈放を求めて事件を起こした。しかも単に師匠を救い出そうとしてのことではなく、ハイジャックの日の夜に師匠が 「あること」 をする予定で、それに自分たちも便乗したくて起こした事件。 
ここまでで犯人にまったく感情移入できない。

しかも師匠が行う 「あること」 が、全く現実的なことでなく、冗談としか思えないことだった。 そんな夢物語みたいなことを大の大人が真に受けて越したハイジャック事件なんか、理解してあげられない。
これ以前に師匠が、理論だけでなく実際にそのことに近いことをしてみせた、とかいうならまだ説得力があるのに、それもない。

子供の教育に携わるボランティアのようなことをしている人たちにしては、犯人たちは身勝手な思考回路をもち、乳幼児を親から奪い危険にさらす。 乗客に暴力を振るわなければいいとか、2時間で終わるからいいとかいう問題ではない。 

極めつけは、犯人たちに対面した師匠が、ハイジャックについてまるで責めることなく、礼まで言い、これがカリスマかとがっかりさせられたこと。 この人がどんなにスゴい人かが伝わってくれば、まだ小説としてちゃんと成立しただろう。 しかしこの人物がいくら「そばにいるだけで人を幸せにする」と説明されても、所詮それはただの説明で、実感としてこの人の素晴らしさは内容から伝わってこない。 

先に書いた 「あること」 がどんなに荒唐無稽でも、小説世界がしっかりしてさえいれば、読者は納得して読み進むことができるものだ。 しかし、肝心なカリスマに説得力なしではどうしようもない。
| book | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
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